「台湾有事」への備えは十分なのか?
2月2日、肌寒い那覇空港に降り立った。この日は全国的に冷え込み、首都圏でも積雪の予報が出されていた。沖縄にやって来たのは、本島の陸海空の部隊司令部及び石垣島の八重山警備隊、与那国島の町役場などを訪問するためである。
現在日本は、防衛体制の強化を進めている。2027年度に防衛費と関係費を合わせた安保関連予算を国内総生産(GDP)比2%規模とする方針で、2月上旬の日米首脳会談でも、防衛費増額を求めるトランプ大統領に対して石破茂首相は、27年度以降も抜本的に防衛力を強化していくとの方針を明確にした。
防衛力強化の重要正面は「南西諸島」である。

日米首脳会談で発表された共同声明でも、「国際社会の安全と繁栄に不可欠な要素である台湾海峡の平和と安定」を維持する重要性が強調され、「力又は威圧によるあらゆる一方的な現状変更の試み」に反対すると明記された。
この日米共同声明に対して、中国政府はすぐに反応し、日本政府に強く抗議するとともに、台湾について「中国の核心的利益の中の核心で、いかなる外部の干渉も受け入れられない」と強調している。
冷戦期、日本の主要な潜在的脅威はソ連(現ロシア)だった。そのため、日本の防衛体制の重点は、北日本、とくに北海道に置かれていた。近年、中国が急速に台頭し、日本の新たな潜在的脅威となるなかで、九州南端から台湾の間に広がる南西諸島の防衛体制の強化が図られるようになった。これが現在、自衛隊が進めている、いわゆる「南西シフト」である。私が自衛隊沖縄地方協力本部長を務めていた2009年〜2010年頃から、「南西シフト」の重要性は指摘されていた。
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source : 文藝春秋 2025年6月号