全国で200店以上を展開するラーメンチェーン「天下一品」が、6月末をもって都内23店舗のうち7店舗を閉店する。なお同ブランドは昨年6月にも6店舗を閉鎖しており、1年間で都内の店舗数がほぼ半減したことになる。
1981年に京都で創業した天下一品の「こってりスープ」は他チェーンにない独自のもので、熱烈なファンも多い逸品だ。閉店が相次ぐということは、その味や集客力に陰りが見えたのかと疑う人もいるだろう。これまで天下一品を愛してきた人々にとって、今般の一斉閉店は「衝撃」以外の何物でもない。
しかし、閉店を予定している新宿西口店、池袋西口店、吉祥寺店などが、店としての活気を失っている様子はない。そもそも、ここ1年で閉店した店舗は運営元の直営店ではなく、フランチャイズ店舗だと、各社がすでに報じている。つまり、昨年6月の閉店分も含めて都内13店、首都圏全体で16店という大量閉店の真因は「天下一品の凋落」というわけではない。フランチャイズ店舗を運営していたエムピーキッチン、ティーフーズの2社に何らかの理由がある、と考えるのが妥当だろう。
では、その理由とは何かを本稿では探っていきたい。なお、今回の執筆に当たって天下一品の運営会社(天一食品商事)や、エムピーキッチンなどに閉店理由、フランチャイズ店舗の詳細などを確認したものの、回答は得られなかった。また、本稿では各社報道や、購入時のレシート、過去の求人サイト記載分を参考にしながらエムピーキッチンとティーフーズ、エムピーキッチンホールディングスを、基本的に同グループとして扱う。
確かに美味しいが…天下一品店舗で感じた「違和感」
チェーン店において、都心部への出店は「ウチは激戦区でも人気あるぞ!」とばかりに、ブランド力・競争力を世に示すのに有効だ。その点、6月末で閉店となる店に渋谷センター街の渋谷店や、池袋西口店などが含まれているのは見逃せない。