駅のコインロッカーに赤ちゃんの腐敗した遺体を置いたのは、33歳の女性だった。さらに裁判によって、女性が過去に12回妊娠していたことが明らかに。彼女はなぜ母親として子どもを育てられなかったのか? 2023年に起きた驚きの事件をお届け。なおプライバシー保護の観点から本稿の登場人物はすべて仮名である。(全2回の1回目/後編を読む)
◆◆◆
彼女が出産した12人の子どもの行方
「駅のコインロッカーから異臭がします」
利用者の届け出で駅員が業者を呼び、問題の扉を開けてみたところ、鼻が曲がるほどの悪臭がした。
中にはトートバッグが1つだけ入っていたが、液状の汁が染み出ていた。
バッグを倉庫に移動し、中身を確認すると、それは、腐敗した新生児の遺体だった。
「警察を呼べ!」
すぐに管轄署の警察官が駆けつけ、遺体は司法解剖に回されることになった。
腐敗が進み過ぎて死因は不明だったが、死後1カ月以上経っていることが分かった。
駅の防犯カメラから、毎日のようにそのロッカーにコインを入れている女の存在が分かった。
画像をプリントアウトし、聞き込み捜査を開始したところ、近くのビジネスホテルを定宿とする風俗嬢の木村有希(当時33)が浮上した。
任意同行を求めたところ、コインロッカーに新生児を詰めたトートバッグを入れたことを認め、「赤ちゃんを出産した日に入れた。救急車は呼ばなかった。お金もないし、誰の子どもか分からないので、育てるつもりはありませんでした」と供述した。
有希が九州の片田舎から関西の歓楽街に転居してきたのは1年前。それまで付き合っていたホストと別れ、より大きな稼ぎを求めて転居してきたのだった。
とは言え、アパートを借りることもなく、1日の宿泊代5000円のビジネスホテルを定宿として、風俗で稼ぐ浮き草のような生活をしていた。
そんな有希が客からの指名がひっきりなしだった理由は2つある。
1つは追加料金をもらって本番OKだったことだ。
もう1つは膣内射精もOKだったことである。
有希はゴムアレルギーだったので、コンドームを着けてのセックスができなかった。
だからこそ、生でしてもらわないと困るのだ。